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執筆者の写真天野圭介

600年続く御屋敷林の手入れ

以前ご依頼頂いた浅羽町の八幡神社から御縁を頂き、この八幡神社のお祭り(流鏑馬祭り)の元となる、600年続くお屋敷の屋敷林を手入れさせて頂きました。

↓八幡神社の手入れの様子は以下のブログで☆


広大な平野に立つこの御屋敷を包み込みように護っている立派な杜。玉の木や楠といった常緑広葉樹が枝葉を伸ばして悠々とそびえ立ち、その木漏れ日で椿や槇が大木の幹を守るように育ち、アオキや榊、ヒサカキなどが目線の高さで生い茂る。そこに梅や栗、柿などの果樹や花木が植えられて、そこはまさに森の中の空氣と空間。まさにこの土地の風土を代表する屋敷林です。


そんな屋敷林も段々と背丈が高くなり、周辺住民からの不安も増してきているということで、全体的に背丈を1/3ほど低くし、杜に差し込む光を調整することで大木の幹の下の方から生えてくる萌芽を促し、杜全体の重心が低くなるように仕立てることに。それによって強風によるあおりに強く、どっしりとした杜の姿に整えて、周辺住民の不安も解消していけるよう取り組ませて頂きました。下見をした当日はかなりの強風で、この杜がどのように風を受けるのか観察するには絶好の天気でした。風に吹かれている間、杜の木々は見事に一体となって大風をちらし、林内を洗い流すかのような適度な風を通し、大風の力を味方につけて林内を活性化していました。根が揺らぐ様な風の受け方はしておらず、大地にがっしりと一丸となって根を張っています。ただ、林内はだいぶ蚊が多くなってきており、もう少し光と風を通してあげたいという状況になってきておりました。


クレーンなどの重機が入らない環境の為、作業は全て手作業。様々な道具を駆使して、杜全体を整えていきます。今回の作業は6月上旬と木にとってはあまり好ましくないタイミングになってしまった為、真夏の強い日差しを意識し、杜が乾かない様、あまり強い日差しを林内に入れないように配慮することが重要任務でした。大木の幹を守るように取り囲む椿や槇を残し、外周からの大風の進入を抑え、程よく林内に光が入るように、全体のバランスを見ながら残す枝を決め、樹形を仕立てていきます。


今回はお隣にお住いの方がなんとプロのカメラマンで、中々見れない珍しい作業とのことで、作業の一部始終を写真に収めてくださいました☆なんともありがたい状況に少し緊張しながらも、とても楽しく真剣に作業させて頂きました☆そのカメラマンの方が撮ってくださった写真を紹介します☆


(施工前の様子。)

(施工後の様子。)

(林内は砂地の環境で地下水位が高く、木々の根のお陰で雨や空氣の地下浸透、湧き上りの状況は悪くない状態。ただ地表面が洗い流され浮き根が多く、細根が発達できない状況になっていた為、剪定した枝葉は全て現地で粉砕し、林床にマルチとして敷き詰めました。これにより森のフカフカした腐葉土を育てていきます。今後の手入れで出た枝葉も全て杜に戻すようお施主様にはお願いしました。)

(光が入り、風が通った林内。以前よりも多く光が入ることにより、林内に刺激と活性化を促す。これが強すぎると木々は弱ってしまうので注意が必要。その加減を肌感覚で確かめながら作業する。)

(家の方々や地域の方々に大切に護られている神様は御健在。)

(剪定後の大木の様子。)

(一月半経っての様子。マルチがバッチリ効いており、切り口からしっかりと新芽が発芽し、葉の伸びも順調。この暑さをよく凌いでいる。杜全体の木々が調子よくピンピンと発芽し始めた。)

(楠の切り口からも勢いよく発芽が見られる。今まで萌芽していなかった幹の下部からも光が当たり発芽が始まった。)


今回は1週間超に渡る長丁場となりましたが、毎日お世話してくださったお施主様には本当に感謝です☆木々を大切に考えて下さっているお施主様に満足頂ける作業となり、アーボリスト冥利に尽きるお仕事をさせて頂きました。お施主様、地域の方々、そしてこの地の神々様、どうもありがとうございました!


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