始まりは小さな暮らしから
私たちは山の懐の小さな古家に住み、家族や動物たちと一緒に自然の循環に倣った暮らしの実践と研究をおこなっています。
築百数十年の古民家をコツコツと修繕し、木や土、草、和紙などの自然な素材でできた家に住むこと。たくさんのいきものと支え合い、田んぼで稲を、畑で野菜を育てること。実のなる木々や四季折々の花を植え、愉しむこと。動物たちと一緒に暮らすこと。自分たちから出る排泄物を土に還し、豊かな土壌を育むこと。森で落ち葉や薪を拾い、暖をとったりお風呂を沸かすこと。自然のリズムと循環の中で、なるべく身近にあるものを用いて、生活に必要なものを自給すること。たくさんの方々のご協力を頂きながら、このような暮らしを育んでいます。
人が健やかに暮らしていく為には、健やかな自然環境が欠かせません。人はその健やかな環境を個々の暮らしや生業、集落全体での結作業などを通じて育み、豊かな田畑や里山を代々養ってきました。そして人が関わることでより多くの生き物を育むことのできる環境と風土、文化を培ってきました。人は地球を豊かに育むための大切な役割を授かり、担ってきたのです。
しかし、近年では急速な開発と都市化が進み、生活に使うエネルギーも石油由来のものが大半を占めるようになり、豊かだった人々の暮らしや田園風景、里山は荒廃が進み、我々を含む全ての生き物の生活を脅かす状態となってしまいました。台風や大雨などで毎年のように全国各地で土砂災害が頻発し、山の木々は痩せて傷み、田畑は荒れ、川は土砂が溜まって泥水を吐き出し続ける状態になってしまいました。人は今、この危機的な状態に気付き、目の前の現実に向き合い、行動を起こす時期を向かえていると思います。その為には、人々の個々の意識、そして社会全体としての意識が変わっていくことが重要だと感じています。
ONE TREEはその一番最初の行動こそが毎日の暮らしの積み重ねであると考えております。また、これまでに実践・研究してきたPermaculture(永続可能な暮らし方の実践体系)や自然の営みに倣った農業、Arborist(樹木の総合的な手入れ)、大地の再生(自然の循環機能再生)、永続可能な林業、微生物による下水処理と環境浄化などを総合的に組み合わせ、全国に広がった仲間と共に流域環境の根本的な改善に取り組んでいます。農、林、造園、土木、微生物技術などを通じて山、川、農地、里山、屋敷、道などの暮らしの基幹となる環境を改善・保全し、豊かな環境と人々の感性を開くきっかけをつくることがONE TREEの使命と感じ、日々取り組んでおります。
このような考えから日々の暮らしの実践と研究を軸に、人々の暮らしがより豊かに、そして喜びに満ちたものになるように、そして人々がより自分らしく輝ける社会になることを願い、ONE TREEの実践は続きます。








