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  • 執筆者の写真天野圭介

来春OPEN!パン屋さんの敷地改善

細江町に引っ越し、来春から石窯で焼くパン屋さんをオープンする予定のご家族からご依頼を頂き、自宅兼店舗の建つ敷地の環境整備をおこなっています。


ここは元々棚田の広がる田園風景でしたが、管理をする人がいなくなり田畑が荒れ、その為埋め立てて宅地として販売された場所でした。集落の外れにあり、広い敷地付きでとても静かな良い場所です。


地形と雨の流れている筋をよく見てみると、盛り土した土が雨で流され、家に向かって集まってくる地形になってきていました。また昨今の大雨で土砂が隣接するアパートに流れ込み、裏山からは泥水が大きな勢いとなって流れ出していました。周辺の道路や側溝の排水処理能力はその現状よりも遥かに低く、今後は雨風の動きに合わせて地形はまだまだ変わっていくことが予想されます。


(盛り土の不安定な部分が流れ出し、隣接アパートへ流入)


(裏山から出る沢水は、排水設備をオーバーして道路上へ流れ出している。このままだと次第に道路ごと抉っていくような地形に変わっていくだろう)


(盛り土を流す水の流れのド真ん中に家が建っている為、雨水の流れを変える必要がある)


お施主さんは山も含めて広い敷地のオーナーとなったので、今後この場所がどうなっていこうとしているのか(自然条件的に)、その上でどうやってここで暮らしたいのか(ご家族のご希望)を話し合い、一先ず早急に手を打つ必要のある大枠の環境改善に取り組むことに。


自然界は常に安定状態に向かってバランスをとる作用が働いています。盛り土は不安定な場所が雨で洗われ、自然の野山と同じように尾根(高くて硬く、乾燥するところ)と谷(低くて緩く、水の集まるところ)の地形が作られていきます。流された土は平野と接する場所で堆積し、扇状地となります。そこを沢水が流れ、幾筋かの沢が合流して川ができます。この住まいと周辺の地形図を確認してみると、まさにこの盛り土の浸食と周辺地形が同じような形となっております。この世はフラクタル(一部と全体が相似形を成している)である為、そのパターンを読み解いていくと、どのような手立てをしていけばいいかが見えてきます。


(家に集まる地表流を分散、浸透するように溝を掘っていきます。掘り上げた土は盛り上げて小さな土塁を作り、植物を植えていく床土とします。水や空氣が動いた跡を見ながら、集まったり動きたい方へ誘導させてあげるように溝を掘ります。これが本当に水と呼吸があっていないと水に壊されてしまいますし、逆に息があっていれば水が安定状態へ導き応援してくれます。)


(溝を掘った後に刈り草を敷き、その上に竹穂、竹竿を少々入れ、再度刈草をかけて泥詰まりを防止。その場に湿氣が宿るようになると大地は緩み、ひび割れを起こしていきます。そうなると生えてくる植物の種類が変わり、様々な生き物の活動が活発となり、その緩みとひび割れを開き、広げていきます。そこへ木々の根っこが伸びてきて、がっしりと大地を掴んでくれると安定化し、様々な刺激・攪乱に対応しながら場が育っていきます。人はそのきっかけづくりと各成長段階においての手入れをおこないます。)

(刈草を敷いて馴染ませる。土は剥き出しのまま放置せず、常に有機物で覆ってあげるようにする。)


(家の外周及び隣接するアパートとの境界に築かれた掘り込みと土塁。盛り土にこのような地形的落差や緩急が出てくると、空氣や水、エネルギーが圧をもって活性化し、安定方向に動き出す。)


(盛り土部分にまずはナラ、欅、ヤマモモなどの高木類を植裁し、その力強い根で掘り込みと土塁を掴んでもらい、段々と中木、低木や多年草を植えていく。この辺りは年々変化を見ながらやっていけばよくて、お施主さんの楽しみな部分である☆高木類は谷風や台風の風よけ、また大雨の際万が一土石流が流れてきた場合の分散を意図している。)


暮らしの場づくりでは、その家庭ごとの色々な優先順位や予算的な都合がどうしてもついて回る。ただ、その場所の自然条件的優先順位はいつもはっきりとしていて、そこはリスクが大きければ大きいほど早急に対処しておく必要がある。逆に対処しておけばあとは時が経つほど安定し、成長してくる。要は安息状色態を生み出す為のエネルギー流や周波数を整えさえすれば、あとは生きとし生けるものが次々に現生して、見事な連係プレーを見せてくれる。色即是空、空即是色の世界。そうやってできた景色はつくった時点ですぐに風景に馴染んでしまうものだ。


今後は春の植裁に向けて計画と調整をおこなっていく予定です☆

パン屋さんオープンの際はまたお知らせしますので、お楽しみに^^






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