バイオトイレ「結」とコンポストトイレの違い
はじめに|バイオトイレ「結」と「コンポストトイレ」は何が違うの?
「バイオトイレ」と検索すると、「コンポストトイレ」という言葉もよく見かけます。
どちらも、微生物の働きを利用して排泄物を処理するという点では共通しています。そのため、「結もコンポストトイレなの?」「一般的なコンポストトイレと何が違うの?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
実は、微生物の力を使うという共通点がありながら、排泄物を処理する方法と、処理後に生まれるものには大きな違いがあります。
今回は、ONE TREEが取り扱っているバイオトイレ「結」と、一般的なコンポストトイレを、できるだけシンプルに比較してみます。また、コンポストトイレには複数の方式があるため、ここでは代表的な仕組みを取り上げて説明します。
まずは一目で違いを比較

水洗式の「結」 VS 非水洗式のコンポストトイレ
大きな違いのひとつが、水との付き合い方です。
バイオトイレ「結」は、一般的な水洗トイレと同じように、水を使って排泄物を発酵槽へ流します。
一方、一般的なコンポストトイレは、水を使わず、排泄物を処理槽などに直接投入し、おがくずや木質チップなどの基材とともに微生物による分解・堆肥化を進める方式が基本です。
つまり、「水で流して処理する」のが「結」、「水を使わず、その場で堆肥化していく」のが一般的なコンポストトイレ、という違いがあります。
最終物が「酵素水」 VS 「堆肥」
もうひとつの大きな違いは、処理した後に何が残るかです。
「結」では、発酵槽・発酵合成槽を通して排泄物を微生物によって処理し、最終的に液体の「酵素水」として活用することを目指します。ONE TREEでは、この酵素水を家庭菜園、畑、水田、果樹園など、設置者自身の敷地内で活用する循環を提案しています。
一方、コンポストトイレは、排泄物と木質資材などを微生物によって分解・熟成させ、固形の堆肥・熟成物として資源化することを目指す方式が一般的です。
ここが、同じ「微生物を使うトイレ」でも、目指している循環の形が大きく違うところです。
投入するものが「水」 VS 「有機物・木質資材」
処理槽の中に何を入れて微生物の環境をつくるのかにも違いがあります。
「結」は、水で排泄物を発酵槽へ送り、発酵槽・発酵合成槽の中で微生物が働く環境を育てていきます。また好気性菌だけではなく、より多様な菌類が活躍する環境を作る為、多様で高密度な微生物環境が実現し、その分有機物の分解処理能力も高まります。
コンポストトイレでは、おがくず、木質チップ、そば殻などの基材を排泄物と組み合わせ、余分な水分を吸収・保持しながら、好気性微生物などの働きによって分解・堆肥化を進める方式が代表的です。
国立環境研究所も、山岳トイレのコンポスト処理方式について、木質系資材に水分を移行させ、撹拌と通気によって好気性微生物の分解作用を利用する方式を紹介しています。
電源を使う「結」 VS 電源を使わない方式もあるコンポストトイレ
ここも、実際に使う上では大切な違いです。
バイオトイレ「結」では、発酵槽内の微生物が働きやすい環境を維持するために、30Lのブロワー1台を1日19時間使用します。また、発酵槽内の液体を送る汚泥ポンプは、1日1分程度使用します。低電力で運用可能なシステム設計を実現しているため、消費電力も抑えられています。
一方、コンポストトイレは方式によって異なりますが、電源を使わずに運用できるものもあります。自然換気を利用するものや、手動で撹拌するものなど、さまざまな方式があります。
そのため、トイレを選ぶときには「電気を使うか、使わないか」だけではなく、「何のために電気を使っているのか」を見ることも大切です。
停電したら「結」は使えなくなる?
「結」は電気を使う仕組みなので、停電するとブロワーは停止します。
ただし、停電したからといって、すぐにトイレが使えなくなるわけではありません。
ブロワーが使えない間は、長柄の柄杓などを使って発酵槽内を攪拌することで、手作業による管理をおこないながら使用することができます。
また、電源が落ちたからといって、数日で発酵槽内の微生物がすべて死滅してしまうわけではありません。電源が復旧するまでの間も、できる範囲で状態を見ながら管理していきます。
「結」は、電気を使うシステムでありながら、停電時には手作業による運用に切り替えられる余地がある。ここも、実際の暮らしの中で考えておきたいポイントです。
「汲み取り式」とは違うの?
ここは少し注意が必要です。
コンポストトイレを単純に「汲み取り式」と呼ぶことはできません。一般的な汲み取り式トイレは、排泄物を便槽に溜め、一定量になったら汲み取る仕組みです。
一方、コンポストトイレは、便槽にただ溜めるのではなく、木質資材などとともに微生物による分解・堆肥化を進めることが目的です。ただし、方式によっては、堆肥化物や基材を取り出したり、交換したりするメンテナンスが必要になります。
「結」は、一般的な汲み取り式トイレのように排泄物を便槽へ溜めて後から回収するのではなく、発酵槽内で微生物による処理を進め、酵素水として循環させていく仕組みです。
実は、共通しているのは「微生物の力」
ここまで違いを説明してきましたが、両者には大切な共通点もあります。
それは、どちらも微生物の働きを利用して、排泄物を「そのまま捨てるもの」ではなく、自然の循環へ戻せる資源へ変えていこうとする考え方です。
コンポストトイレでは、木質資材などを活用しながら堆肥化を進めます。「結」では、水を使って発酵槽へ送り、複数の工程を通して液体の資源へと循環させます。
方法は違っても、「人の暮らしから出るものを、自然の循環の中へ戻していく」というところには共通点があります。
どちらを選べばいい?
これは、どちらが優れているという話ではありません。
大切なのは、その土地でどのような暮らしをしたいのか、どのような使用環境なのか、どのような循環をつくりたいのか、そして自分でどこまで管理できるのか、などを考えることです。
例えば、できるだけ水を使わず、木質資材などを利用しながら固形物として堆肥化していきたい方には、コンポストトイレという選択肢があります。
一方で、一般的な水洗トイレに近い使い心地を保ちながら、排泄物を発酵処理し、液体の資源として庭や農地などへ循環させたい方には、「結」という選択肢があります。
どちらも、微生物の働きを借りながら、人の暮らしと自然の循環をつなぐための方法です。
ONE TREEが「結」を扱っている理由
ONE TREEが「結」を扱っている理由は、私がオーストラリアで生活していた頃まで遡ります。
当時パーマカルチャーの実践者達を訪ね、WWOOFerとして滞在させてもらっていた私は、多くの家庭でコンポストトイレを利用する生活を体験しました。
しかし、その当時は今ほど優れた仕組みのバイオトイレは少なく、水分量過多になったり発酵熱が高まらなかったりという不具合が頻繁に見られ、結局処理後の最終物を山などに廃棄する光景もよく目にしました。
また、細菌などの心配から最終物を畑に使うことができず、果樹の周りに散布したり、ガーデンの片隅に処分したりといった消極的な利用が目立ちました。
そんな体験をした私は、自分の家に導入するのに優れたトイレはないのかと探し回り、最終的にこのバイオトイレ「結」に出会いました。
最終物が「酵素水」という液体であることは、恐らく皆さまの想像をはるかに上回るほど便利なことです。庭や畑への散布はジョーロなどで散水する際に少量入れるだけ。水田に利用する際も畦からジョーロで散水したり、取水時に水口に注げば手軽におこなえます。
酵素水の土壌活性効果を実感したら、次はお仲間にも譲って試して欲しい、という気持ちが湧いてくるでしょう。そんな時も、飲み終わったペットボトルに注いであげれば簡単にお譲り頂けます。
また農業における栽培体系への酵素水の取り入れ、畜産業における消臭剤や堆肥熟成促進剤としての利用などもお勧めです。知り合いの方にお譲りする際も手軽に渡せますし、既存の道具や設備で散布も容易です。
さらに、普段利用しきれない酵素水はオーバーフローとして処理されることになりますが、そこにビオトープや水性生物の飼育を組み合わせたり、湿地環境に適した作物の栽培を組み合わせたりする場合、オーバーフローを収穫に結びつけることもできます。また、合併浄化槽と併用する場合には浄化槽内にオーバーフローさせることで、浄化槽内の環境改善も期待できます。
このように、最終物が水であることは非常に便利であり、最終物利用の可能性を大いに広げてくれます。そして普段の生活に余計な手間や負荷をかけることなく、低ストレスで運用可能です。
これに汚泥汲み取り不要、快適な水洗環境がついてくるとなると、まさに私にとっては夢のトイレなのです。
まとめ|「処理するトイレ」から「循環するトイレ」へ
コンポストトイレとバイオトイレ「結」は、どちらも微生物の力を利用するトイレですが、仕組みと生まれるものには違いがあります。
・結:水で流す → 発酵槽・発酵合成槽 → 酵素水(液体)
・コンポストトイレ:水を使わない → 木質資材などと分解・熟成 → 堆肥・熟成物(固体)
どちらが正解ということではなく、目指す暮らしや使用環境、土地との循環などによって、合う仕組みは変わります。
もし「自分の家や土地には、どんなトイレの仕組みが合うんだろう?」とお考えでしたら、ONE TREEまでお気軽にご相談ください。

