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  • 執筆者の写真天野圭介

30m超えの杉を特殊伐採

先日私の住む町内の神社からご依頼を頂き、境内の杉の特殊伐採をおこないました。社務所のすぐ裏で大きくなってしまった杉を伐採したのですが、実に大きく成長した杉で、胸の高さで幹の直径は約75cm。幹が社務所の軒先に差し掛かってきていた為、伐採作業をおこないました。


ご依頼頂いたのは南宮神社という神社で、神主さん曰く鐵(てつ)の神様をお祭りした神社とのこと。噂には月の暦の神様を祀った場所とも聞いていたのですが、今回で二度目の特殊伐採のご依頼でした。すぐ隣には幼稚園や小学校があり、昔から近所の子ども達の遊び場となっていた場所で、私自身も小さな頃に遊んだ思い出のある場所です。自分自身も大人になり、このような仕事をするようになって町内の方々にご依頼頂き、お力になれるのは何とも嬉しい限りです。


伐採した杉は境内でも一番大きなクラスに成長した杉で、地際からおよそ25m、道路から見ると30mほどの高さまで成長していました。神社の風よけとしてうってつけの場所に位置し、神社の環境を守る上でなんとも惜しいくらいの働きをしてくれている木だったので、切るには惜しいな。。と悩みながらも、伐採させて頂くことに。


樹上から街を眺めると、昔は川沿いの辺り一面が田んぼだった様子がよく分かります。氣田という地名からもよく分かるように、この地域の中心的な場所であり、人の身体でいう丹田に位置するような、肥沃で活き活きとしたエネルギーの湧き出るような場所であったと思います。私は伐採を依頼して頂く際、切られる木が自分に命を差し出し、与えてくれたんだと感じます。この木のお陰で自分は家族を養い、生活をしている。人が守り、管理している環境では木は切られることも多いが、でもそれを自分に頼んでくれた。私は今までの数々の体験から、きっと木が人を動かし、こういう機会を与えてくれているのだろうと感じるようになりました。


ならば、ただ木を切るだけではなく、その木がなくなったことで失われるものを補ったり、切ったことがその環境において新たな刺激となり、また豊かで安定した環境になるよう努めたい。この境内の環境を見渡すと、段々と表土が雨に流され痩せてきて、樹木の根が地表に浮き出た「浮き根」が増えていることに気付きました。神主様や総代の方々にお話しさせて頂き、境内の危険木の伐採と合わせて、表土の保護と肥沃化をおこなっていってはどうかと提案させて頂き、御検討頂くこととなりました。表土が痩せてくると木々はどんどんと枝葉を細らせ弱っていき、弱っては伐採していくうちにやがて木の無い神社になってしまいます。神々は木々に降り立ち、社に鎮座されるという昔からの考え方の通り、やはり神社には木や植物が必要不可欠です。後世に残していくべき環境を今どのように手入れしていくのか?自分の子どもも遊んでいるこの環境で、できる限りの努力をしていきたいなと思います。お隣の幼稚園の木々の管理も依頼して頂いている為、弱った桜の樹勢回復を試みたところ、こちらは見事に反応し満開の花を咲かせてくれました。子ども達が健やかに育つ環境には、木や生き物の力が必要だと思います。私が管理させてもらっている間、精一杯木々の為に尽くし、子ども達が緑に囲まれてすくすくと成長できる環境をつくっていければいいなと思います。


作業中は多くの方々が見学に来てくれたり、写真を撮って現像してプレゼントしてくださったり、差入をくださったり、地域の方々の温かさを実感しました。すぐ隣では園児たちもプールでキャッキャと遊び、向かいの喫茶店ではコーヒーを飲みながらず~っと観戦してくれている人も!後でその人に近所の寿司屋で会ってあれは自分だと話したら、「やっぱりお前くらいの気ちがいでないとあれはできない!」とお褒めの言葉を頂きました(笑)。地域で働き、地域の人たちにこうやって自分の仕事を認知してもらい、ご依頼頂く環境の中で子どもを育てていくって、なんとも温かいことだな~と改めて実感するのでした。


(すぐ下に建物があり、中々神経を使う難しい作業でした)


(地上でサポートしてくれるグランドワーカー達。頼りになる相棒達です。ちゃっかり長男坊も打ち合わせに参加☆)


(トップカットと呼ばれる木の頭落としは一番揺れが大きく、緊張の一瞬です。グランドワーカーのロープ操作がものを言う、腕の見せ所です)

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