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  • 天野圭介

循環する暮らしづくりの連続講座第2回目

循環する暮らしづくりの連続講座第2回目を開催しました。


前回は暮らしの場が大きな視点で見た時にどのような場所に位置し、特徴を有し、その場にどのような自然の力が働いているのかを広域的な流域視点で観察しました。今回からは実際の作業に入ります。


第1回目で説明しましたが、暮らしの場に根付いた循環を起こしていく為には、まず地形の安定化を図ることが重要だと考えます。地形とは人間の身体で例えるならば骨格に当たります。人の身体も骨格が歪めば痛みや病気が生じるのと同様に、地形や土中の状態が歪むと様々な痛みが生じます。その痛みや歪みは植物の表情や場の雰囲気に現れ、暮らす人を含む様々な物に影響を及ぼします。地形とは、地殻の隆起や風化現象、植物の働きなどと共に長い時間をかけて作られたその場の今の状態であり、それを支える岩盤や真土、土壌、石、動植物など様々な要素で形成されています。地形は常に変動し、生まれ変わります。その変化に柔軟に対応し、暮らしの骨格を維持していく必要があります。地形という骨格が整うと、その場には常に絶え間なく降り注ぐ様々な宇宙のエネルギーが取り込まれ、人の暮らしと共に成長していきます。太陽の光、風、水、微生物、音などなど。人間の感知しているエネルギーや目には見えない様々なエネルギーが働き、その場に渦の様な循環上昇の螺旋が生まれます。その螺旋は暮らしのインプットとアウトプットと共に成長し、安定し、より求心的な力へと発展していきます。


地形の安定化に伴いまず重要なこと、それは水を治めることと植物の力を活かすこと。「土木」という言葉が表すように、人は昔から植物の力を味方につけながら屋敷や畑、田んぼ、里山などの暮らしの場を創り、維持してきました。地形の浸食を起こす主な要因である水の流れを治め、強い光や風を和らげ、長期間にわたって柔軟に地形を安定させていく為には、植物の力が欠かせません。最近では庭に植物を植える人がどんどんと減り、人工的な構造物ばかりの住環境が目立ちますが、そのような場は多くの熱を抱え込み、暑く乾燥した人にも生き物にも過酷な環境を生み出してしまいます。締め切りの家を空調でコントロールした環境とは違い、生きた植物たちは精氣を発し、人にいきいきとした暮らしの活力を絶え間なく送ってくれます。落ち葉が他人の敷地や道路に落ちたり、枝が張り出してお隣さんの家に伸びていったりと敬遠されがちな植物たちですが、その目に見えない圧倒的なメリットを是非暮らしに取り込んで頂きたいです。


(作業前のアプローチの様子)


講座を開催しているこのお宅では、地山を切り取った母屋へのアプローチの法面が雨の影響により段々と浸食されてきており、車の重さがかかる大事な環境の為、まずはこのアプローチの安定化を図ることに。路肩の部分をユンボで堀り上げ、そこに丸太で木組みをおこない、植栽をしながら埋め戻していきます。この方法は清光林業という会社の元部長であり、天竜小さな林業春野研究組合の作業道設計をおこなってくださっている野村正夫先生に教わったものであり、埋め込んだ木組みが面となって路肩の重さを支え、その木組みが腐っていく頃には植物の根が路肩に食い込み、長期に渡って安定した路肩を作ってくれます。


(丸太で路肩を補強し、そこに植物を植えていく)


今回は集まってくれた参加者の方々と木組みを作り、路肩と法面(斜面傾斜部分)に植物の苗を植えていきました。路肩部分は既に植わっていた河津桜や栃の木などに景観を合わせながら、施主さんの要望も踏まえてアーモンド、オオシマザクラ、枝垂れ梅、イロハモミジを植裁。春に綺麗な花を咲かせる明るい母屋へのアプローチを想像しながら、一本づつ丁寧に植えていきます。植物の生長したい向きを皆で確認しながら、地に食いつくように捻りを加えて植えていきます。大きな木の根元には小さな植物を寄せ植えし、根っこが共に地に協力して根付くことができるようにしてあげます。木は常に他の木や菌類などとネットワークを組んで生きているので、その仕組みに習って植栽します。アジサイやサラサドウダン、ユキヤナギやシャリンバイ、ツツジにサツキ、ヘーゼルナッツなど、様々な低灌木を寄せ植えします。この木々が成長しながら次第に根を広く伸ばし、この法肩を木組みと共にがっちりと掴んでくれるよう託しながら。


路肩が決まると次は法面部分の植裁に。法面部分はこの辺りに自然と生えてくる雑木と調子を合わせ、クヌギ、コナラ、山桜、樫、シデ、リョウブやエゴなどを植裁。これらの広葉樹は根の力がとても強く、斜面の土留には好適です。所々にヤマツツジをちりばめながら、春に萌える周辺の山々と息を合わせます。施主さんが草木染め好きな為、草木染の染料となるクチナシや食べられる実のなるナツメ、料理に使える月桂樹、南面からの強風を防いでくれるヤマモモなども植裁。最後に表土を守るための腐葉土を全面に散布して作業終了。たくさんの参加者の方々のご協力のお陰で、2日間で無事作業が完了しました。


(大人も子どもも法面部分にみんなで植裁)


参加者の皆さんは途中からは何も指示せずとも木組みを進めてくれたり、マルチをしてくれたりと作業を進めてくれました。協働作業の醍醐味は、何といっても学びと経験の共有、そして新たな出会いと成長にあると思います。この講座では参加費は頂かず、誰もが無料で参加して頂けます。皆お弁当持参で遠方からお越し下さる方もおり、毎回毎回ありがたい限りです。皆が手弁当で人の土地での作業に参加してくれるということは、実は現代社会では中々経験する機会が少なくなった結(ゆい)の作業の面白さを感じてくれているからではないかと思っています。田んぼや水路、里山などの公益的環境を住民みんなで人手を出し合い作業をして、みんなで維持していく昔ながらの結作業。人間社会では土地の所有制によって個人や法人などが土地を所有して管理することになっていますが、大きな目で見ると自然は全てつながっています。つまり、人の土地だろうが他県での出来事であろうが、全ては我が身に通じるということ。人口減少や核家族化、生活様式の変化などによって今では境界の分からない土地や手入れのされない放棄地がどんどんと増えています。この所有制の仕組みも崩壊寸前だと感じていますが、今はできる人たちが手をつなぎ、一つ一つ目の前のことに丁寧に向き合い、その作業の中から自然の理を学び、成長していくことが大事だと感じています。


子どもも大人も動物も、みんな笑って泥だらけ!最後には祝福のダブルレインボーを見せて頂きました☆すべてに感謝!



(とっても綺麗だった二重虹)



(作業完了風景。これからの成長が楽しみ☆)

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