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執筆者の写真天野圭介

庭の通氣浸透水脈整備

更新日:2022年3月9日

3年前に焼津市のとあるお宅の庭の改良工事をご依頼頂きました。経過を観察しながらメンテナンスさせて頂いており、この間手入れに入らせて頂きました。


その庭は元は田んぼで、埋め立てして住宅地にした場所。ご依頼頂いた当初に拝見した庭は、その一画では一際目を引く植物の種類と成長量。大分大きくなるまで成長していた為に風通しが悪くなってきており、同時に造成された時の客土(土を運び込むこと)が年月と共に硬くしまってきており、植物の根の健全な成長を阻害している状況でした。お施主様はアロマテラピストでハーブが大好き。庭にはたくさんの植物が植えられており、その植物がもっと元氣に、かつ手入れし易くなるように庭の手入れさせて頂くことになりました。


快適な住空間を創るには植物の力が必要不可欠です。食べ物や燃料を与えてくれたり、風を防いだり、熱を和らげたり、土壌や生き物を育んだり。数えきれないほどの役割と目に見えたり見えない形で私たちの暮らしや生き物の根底を絶え間なく支えてくれています。天と地を結ぶ役割を果たしてくれているその植物がイキイキと根づくことができる環境づくりには、なんと言っても健やかな土壌を育むことが第一。まずは人間の骨格にあたる地形を整え、土を行き来する空氣と水や氣の流れを整えます。地形を整える為に庭に通氣浸透水脈と呼ばれる溝や穴を掘り、土中に高低差を作っていきます。これにより空氣や水の地中への浸透力が増して大地が緩み、そこに木の根が伸びていきます。大地が緩むと様々な生き物がこれを応援し始めます。微生物、菌糸、ミミズ、モグラ、セミ、オケラなど、掘った溝から葉脈のように溝を広げて地面を和らげていきます。見事なまでの連携技です。


溝はそのままだとまた泥が溜まって浸透性を失っていくので、溝に竹や木の枝、炭などの有機物を入れて埋め戻します。この有機物が地形を支え、朽ちていく過程で木の根がこれを吸収するように伸び、恒久的に地形を支えていきます。これによって庭に高低差が生まれ、人や植物、生き物にとって必要な円滑な空氣と水の対流が生まれます。剪定した枝葉は細かく切って全て庭に還元します。その庭に必要なものを、暮らしと周辺の環境で循環自給できるようになると、暮らしと庭の繋がりがより強くなってきます。生ごみや排水、近所で獲れる刈草などを庭に入れ、表土を育て、コツコツと循環する仕組みを創り上げていきます。


施工後は植物たちがすぐに反応し、トネリコは枝垂れるほどの満開の花を咲かせてくれました。お施主様も植物の成長が良くなったことで収穫物から精油を精製するプロジェクトがスタートしたり、人脈が広がりどんどんと進化されているご様子☆まさに庭の改善工事が一つのきっかけになったようでとても嬉しいです。庭には人生を変える可能性が眠っています。その立役者は宇宙から燦燦と降り注ぐエネルギーであり、このエネルギーを暮らしに取り込むことができれば暮らしは圧倒的に心地よいものとなります。その為には菌類や植物を生き生きと育て、表土を育み、暮らしからでる様々な資源を庭に循環させること。そして庭を通してそこに住む人の意識が変わること。植物の語る言葉に心を向け、暮らしを通して周辺環境を手入れし、暮らしへのインプットとアウトプットの好循環を生み出す。そういう暮らしと地域の担い手が増えていってくれるよう、庭を通してお手伝いさせて頂いております。


引き続き、この庭の成長とお施主様の暮らしを見守らせて頂きたいと思います。



(三年前の施工の様子。土は固く青みがかった状態で、根が深くまで伸びていない)


(溝に有機物を入れて埋め戻す前の様子。通氣パイプは水脈が安定したら外します。)


(今冬の手入れ後の様子。地中は緩み、根の伸びも良くなって成長が安定してきました。)


(剪定枝は貴重なマルチ資材。有機物が不足しがちな都市部では、剪定枝を全て庭に還元し、表土を守ります。)



(施工後に満開の花を咲かせてくれたシマトネリコ(右)エルダーフラワー(左))

玄関先がこんなに繁っていても、中に入ればそよそよと風は動いている。

健全な植物の成長の証です。

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